空から降る虹色の輝き

空が少し紅くなってきた
あと少ししたら日が落ちて星が顔を出す

それでも俺たちは丘の上に並んで座ったまま何も言葉を交わさない

明日になったらアンジェは女王に即位する

それは俺たちの距離が離れてしまうこと意味していた

だからなのか握ったままのこの手を離せないままずっと二人黙っている


少し前の俺だったらアンジェを連れて逃げてしまおうとか考えていた

でもアンジェは自らの意思で女王になり離れていってしまう

「…もう日が暮れますねランディ様」
「…そうだね」

空がさっきより紅くなってきている
俺たちの時間も残り少ない

モヤモヤした気持ちがやりきれなくて夕陽から視線を反らすと

それは見えた

「…アンジェ!あれ!」
「…え?」

俺が指差した方向に目を向けた君はぱっと顔が明るくなる


そこには夕陽に照らされながら輝く虹が見えていた


「アンジェリーク」

君の両手を握って向かい合い俺は気持ちを言葉に変える

「…はい」

夕陽のせいか少し紅い君の顔

「俺たちはこれからの時間を精一杯生きていこう」

女王として

風の守護聖として

君の碧の瞳が少し揺れる

「そしていつか時が来たら…俺の故郷の街に行ってみないか?」

俺の育った街の夕暮れの美しさをいつか君に教えたい

「君に見せたい風景があるんだ」

「ランディ様…」

「あの虹がその約束の証だ」

「…はい!」

暮れていく景色の中

君を抱き締めた


例え虹が消えてしまっても

俺たちの約束は消えない

君と二人だけの約束は